海猫亭日誌

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zoom RSS ブリエアの解放者たち ドウス昌代

<<   作成日時 : 2011/09/07 22:08   >>

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エスニックジョークで読んだ時には、ふーんと読み流していたことが後で、あれはこの事実に基づいていたのか〜と思うことがありますよね。
「イギリス人の家に住み、中国人のコックを雇い、日本女性を妻にする」
 理想の状態でなぜ日本女性が出てくるのか不思議でしたが、開国以降「からゆきさん」と呼ばれた日本人娼婦達がどれだけ遠くの国まで足を踏み入れたかを知ると、このジョークが凄く納得できたのですね。
 そうか、娼館で知ったからゆきさん達の印象が最高の妻としての日本女性に結びつくんですね。
最高の軍隊の方に出てくる
「アメリカ人の将軍、ドイツ人の参謀、日本人の兵」
についても具体的なイメージがあるとは思わなかったけれど、これ海外で言われているジョークだから海外で奮闘する日本人ビジネスマンのイメージを基にして出来たジョークなのかな?と思ってました。でもこれもそうじゃなかったのでしょうね。
イギリス国王が謁見するほど有能な部隊として名高い日系人部隊のイメージが基になっているのでしょう。

そうすると日本人ならびに日系人にとっては、第二次世界大戦って最高の軍隊と最低の軍隊の見本を世界に示したわけですね。

兵士としての優秀さを422部隊が、参謀としての無能さをインパール作戦が見事に見せてくれたのですもの。
そりゃ、ああいうジョークが出来るわ。どちらも比類ない有能さと無能さですもの。
本の内容については名作なんで読んでくださいとしか言えないのですが(本屋さんにはないから手に入れるのは大変でしょうけどね。ああ、図書館が充実している地域に住んでよかった。
どうでもいいことですが、これ古書価格随分上がってますね。私が読んだ当時は、「ちょっと高いな、どうしようかな?」と悩む程度だったのですが、今はめちゃくちゃ高いですね。ドウス昌代さんの他の本との価格差にどういう人達が、どういう目的でこの本を選んでいるのかを想像してちょっと面白かったりします)、面白いなと思ったのはハワイと本土の日系人の間で軍隊に召集されることへの温度差があったこと。

自分達は白人兵の弾除けにされるのでは?という本土の日系人が持っていた怖れの方がたぶん一般的でしょうね。だからこそ黒人兵は
「白人の戦いだ」
と自らの命を危険にさらしてまで戦わなかったでしょうし、朝鮮戦争へ召集されたネイティブアメリカンが
「また白人に裏切られた」
という感想を持ったのでしょう。

それを考えるとハワイの日系人の感覚って明治以来の日本人の感覚に近いのかな。差別がないわけではないがアメリカ本土に比べれば緩い。

世界は白人が動かしていることは知っているけれど、頑張って彼らを驚かせるだけの働きをすれば白人達も自分達を見直してくれる。自分達への視線を変えてくれる。

無邪気で、純粋で、世間知らずな考えだけと、この無邪気さがあるから、他の有色人種のように白人にはかなわないと諦めずひれ伏さずにすんだのでしょうね。差別の苛烈さを知らないことが逆に差別と戦う気力を生んだのか。

あと、もう一つ気になったのが日本兵に対する観察ですね。

「ストレスが加わると極度に神経質となり感情的にバラバラとなる。主導権を失い、計画通りに事が運ばないと直ちに混乱し、士気が下がる」
という評価も面白かったのですが、(ついでに言えば、「日系人には米食わしとけ」の評価も食糧の為なら平気で一山越える行動力にも笑いました)
「突撃の時に全員が突進する」
「傷ついた仲間を置き去りにしない」
という特質の方が昨今の世の中の状況と照らし合わせて面白かったです。

たとえ死しても見捨てられないという仲間への信頼が日本兵の強さの源にあったのなら、アメリカのやり方を単純に真似ただけの成果主義の導入や派遣法による正社員と派遣社員の分断って、自らの強さを自ら捨てたことにになるのじゃないか、と思ったのですね。

頭のいい誰かが仕掛けた戦略だとしたら凄い戦略ですが、明治維新の時の廃仏毀釈と同じように
「グローバルスタンダード!」
「アメリカと同じく成果主義!」
で頭に血がのぼって捨てなければいいものまで捨ててしまったのでしょうね。



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