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zoom RSS 満州女塾 杉山春

<<   作成日時 : 2010/03/19 20:49   >>

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都市伝説の一つなんでしょうがネットで農業研修の恐怖というのを読んだことがあります。

農業体験しませんか?という募集に乗せられて現地に行くと待っていたのは自然とのふれあいと農業の厳しさ大切さを体感できる貴重な数日間、ではなく、嫁不足の農家になんとかして嫁を迎えようと手ぐすね引いていた人たちとセクハラの嵐。

話が違う!騙された!と帰ろうとしても交通手段に限りがあるので帰る術はない。とにかく自分の身を守ることだけ考えて研修終了の日まで耐える日々。

だから農業研修募集の呼びかけを見つけたら、すぐに飛びついたりせずに募集要項をよく読んで、28歳までの女性に限ると書いてあるようなところへはけっして行ってはいけないよ、というのが大まかなパターンだったと思うのですが、この本を読んで、あれの原型ってこれだったのかな?と思いました。

戦前、旧満州に作られた開拓女塾。少女達が考えたのは男子と同じようにお国の為に働く女子義勇隊。

村長や学校の先生に勧められ、大陸の学校で学んで向こうの色々なところを見たり教わったりすんだ。帰ってきたら、それを皆に宣伝しよう!と希望に燃え、日常を抜けだして未知の世界に触れてみたい、男達と同じように働きたいと夢見た少女達は、勧められた学校が開拓農民の妻を養成する為の花嫁養成学校であることを知りませんでした。

政府は日本から中国に渡った開拓農民を現地に根付かせる為に彼らの花嫁となる女性達を必要としたのです。

片道切符であることを知らされず海を渡った少女達。

「結婚しなければならないとは知らずに渡った」
「女塾では日本に帰ることが許されず仕方なく結婚を承諾した」

 かつての少女達の言葉に、うわあ農業研修の恐怖まんま、と思ってしまいました。

国に騙されたという点では同じでも、開拓農民の方はまだしもましですよね。
「新天地、満州で国の為に働こう!」
誘い文句には嘘はないですもの。ただ日本で聞かされた話と現地の実態との間に天と地ほどの落差があっただけで。(羊頭狗肉もいいとこだもの。あれだけ落差があったらノイローゼになるものが続出しても無理はないわ)

女の方は、現地で本当のことを聞かされて帰りたくとも旅費がない。

諦めて結婚を承諾するまで次から次へと縁談を持ち込まれ、日本の家族に助けを求めても家族からの手紙は途中で握りつぶされてしまう、ですもの。

国の言うことを素直に鵜呑みにしてはいけませんねえ。

彼女達に開拓女塾を勧めた大人達は善意で勧めてくれたのでしょうが善意を素直に信じた結果が本意ではない大陸花嫁ですからね。

私、日本という国は好きだし、世界的に見てもかなりいい方の部類に入る国だとは思うけれど、この国は棄民の伝統があるし、偉い人は自分のしたことの結果の責任を取らない伝統があるということを忘れてはいけないと思います。

そのことについてどうこう言う気はないのですが、そういう伝統がある。それをふまえて用心しておかないとひどい目に会う可能性があることを認識しておくことが自分の身を守る為には大事かなあ、と。

まあ、国というのはどの国も多かれ少なかれ、庶民は用心しなければいけない部分を持っているのかもしれませんが。

それにしても時代の違いがあるのは分かっているのですが、少女達を満州に送り出そうとする人達の行動が読んでいて気持ち悪くなるほど不快でした。

少女達を大陸に送り込んだ有力者の中には戦後ぼろぼろになって帰ってきた姿に「私が勧めたばっかりに」と泣き崩れる人もいたそうですが、あまりにも視野が狭すぎ。上下意識強すぎ。

お上の言うことは絶対、それに従う自分の言うことは正しい!となんの疑問を持たないところが怖い。

時代の正義って怖いな〜、今の目から見ると突っ込みどころ満載なんだけど。やっぱり教育って大事なんだなあ、と考えてしまいました。

こういうの読んでしまうと従軍慰安婦ってあったよねえ、とつい思ってしまいます。同じ日本人の少女達にこういうことが出来るのですもの。当時日本人より一段下に見ていた朝鮮人相手に本当のことを言って誘いをかけたとは思えない。

働き口ありますと言って真実を教えずに連れ出したのでしょう。違っていたのは日本人の場合、待っていたのは望まない結婚で、朝鮮人の場合は娼館だったということなのかな。

あと、ふーんと思ったのが関東軍に見捨てられ置き去りにされた女性達が生きる為に、中国人の保護下に入る引き換えとして彼らと結婚するのですが、けっこう大事にされているのですね。

当時の中国は売買婚が主流で、貧しい農民たちは長男以外妻を持てなかったから、言葉のわからない日本人でもようやくもらえたお嫁さんという感じで嬉しかったのかもしれませんが(そういえば中国で日本女性は男性に比べて印象が高いという話を読んだなあ、日本男子=日本軍人に虐げられた犠牲者という点で日本女性は中国人と同じ、というのが理由だそうで。置き去りにされた日本女性の印象が入っているのかな?)、それでも妻ばかりか連れていた子供までちゃんと守ってくれるのは凄い。

同じようにサハリンに置き去りにされた日本人女性達は、やむを得ず結婚した朝鮮人からのDVに苦しめられていたというのに。

サハリンの朝鮮人は、自分達が望まない土地に連れてこられ置き去りにされた恨みを同じ日本人である妻にぶつけたのでしょうが、置き去りにされたのは彼女達も同じなので、弱者の恨みがより弱者に向かう、という感じでやるせない。

中国人の場合は望郷の恨みがなかったことも割り引いて考えなければいけませんけどね。
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