海猫亭日誌

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zoom RSS 原発事故 その時、あなたは!  瀬尾 健

<<   作成日時 : 2011/08/31 00:04   >>

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私の住んでいる沿線に高級住宅街で有名な駅がありまして、カフェに寄ったり、誰かの家を訪ねる前にその街へ手土産を買いに行ったりすることがあるのですが、震災以後その街の駅ビルにある本屋さんに原発・地震関連本を集めたコーナーが出来まして、その充実ぶりというのが笑ってしまう程凄いのですね。

数軒の本屋さんをはしごするより、ここ一軒によった方が確実に欲しいものは手に入るだろう、と確信させてくれる充実ぶり。
さすが高級住宅地。やっぱりお金持ちってサバイバル対策に抜かりないなあ。

生き残る為に必要なのは、まず情報と知識。それがなければ、今後どうすればいいのか?という戦略が立てられませんものね。
この本屋さん、センスいいなあ。住人が何を求めているのかを正しく判断して、需要を満たす商品を集めて提供するなんて、と感心したのですが、逆に言えば高級住宅地に住むような人々でも原発の危険性について正しく把握していなかった、ということですよね。

「原子力に依存する割合が数十%にも達している現在。これをやめてしまえば大変な電力不足になると思うしかないような状況に我々は置かれている。
だが、こういった状況の全ては国策によって創り出されてきたものだということを思い起こす必要がある。
そして、あらためて、この国策が本当に我々と我々の子孫にとってベストなものであるのか、というより逆に取り返しのつかない過ちを犯しつつあるのではないか、ということを今一度問い直す必要がある」

この本のはじめに書かれている言葉です。
1995年に発行されている本なので、今から16年前の言葉なのですが、この警告が理解されるには時間がかかり過ぎましたね。

「原発推進の国策を決定し、推進してきた政府、あるいは政治家達は原発政策を人々に問うて選ばれたわけでは必ずしもない。
むしろ地域の利益誘導に巧みな人々が選ばれ、官僚の作った国策に従うという典型的な日本型『民主主義』の枠組みの中で原発も推進されてきたのではなかったか。ここには、原発についての人々の気持ちが正しく反映される余地はほとんどなかった。
いや、もっと悪いことには世論形成の基盤、つまり正しい判断をする為の基礎となるべき情報が、人々に十分に知らされていないという問題がある。
知らされていないのは、一般の人々だけではない。政治家もである」

という言葉は震災以後の本屋さんの様子を見ると正しいのでしょうね。
この本は、スリーマイルとチェルノブイリの事故の経験をもとに、このような大事故が日本の原発で起こった場合、どのような状況が引き起こされるのかをシュミレーションし、その災害規模がどの程度になるのか、具体的な数値を示し、原発の是非を人々が客観的に判断する基本材料になるように、という目的で書かれています。

なので、この本でのシュミレーションは最も最悪な事故が起こった場合の例です。
最悪の例でシュミレーションしていれば実際に事故が起こった場合でも
「想定外です」
なんて言葉を吐かなくてすむということなのでしょう。

書かれているのは事故のシュミレーションだけではなくて、過去の経験を活かす為に、スリーマイル島とチェルノブイリの事故は何故起こったのか?事故の経緯とその後の影響。事故から得た教訓なども記されているのですが、挙げられている教訓を読むと顔が歪んでしまいます。

「事故の通報は遅れる」
「関係者はあらゆる手段を尽くして事故を秘密にする」
「事故の影響は過小評価される」
「経済性の為には少々の安全は犠牲にされる」
「被害者は因果関係がはっきりしないのをいいことに切り捨てられる」

何もここまで本に書いてある通りに現実が進まなくてもいいと思うのですが。東電と政府の対応ってテンプレートの通りだったのね。

この本で、IAEA(国際原子力機関)は、国際的に原子力の商業利用を推進する機関だから、原発で被害が出ることなど断じてあってはならない、と過去の事故で因果関係なしと結論づけたIAEAの被害調査を批判しているのですが、そのIAEAにさえ事故後の東電と政府の対応を批判されていませんでしたっけ?

過去の教訓は、これからどうすべきかの判断材料、というわけで過去の経験を活かし防災編として「放射能から身を守るには」という防災のノウハウも記載されています。

「避難の規模のあまりの大きさに途方に暮れて行政は何も出来ないかもしれない。どこから手をつけるべきか、あれこれ議論している間に手遅れになってしまうかもしれない」

 う〜む、これもまさに今の状況ですね。だから、こう続く訳ですね。

「国がまともな防災対策を持っていないのであれば、一人一人が自分で身を守らなければなりません」

 というわけで、じゃあ何をすれば?という具体策と、必要以上に恐怖に囚われない為に、放射線と原発、そして何故原発事故が起こるのか?という仕組みについての基礎知識が記載されています。
事故が起こった場合、どのような隠ぺい工作が展開されるのか?という過程も。

この本は著者の遺作だそうで、遺稿を元に本としまとめられたようですね。
だから、学者としての良心を持って、残された人々の為に必要となる知識を書きするそうとしたような気がします。

「日本の原子力を推進している人達は日本では原子力の大事故は決して起こらないと繰り返し宣伝してきた。
しかし、原子力発電所は機械である。機械はどんなに注意して作っても時には壊れる。作る前に何種類かの事故を想定し、その想定した事故に耐えられるように対策を施すのは技術の常道である」

原発事故が起こった後、知人が言いました。

「『原子力は危険だ』それは嘘ですよ。本当に原子力が危険だったら原子力空母なんで作れませんよ。
原子力空母の動源も原発も仕組みで言えば同じです。三年もどこにも寄港しないで空母を「動かすエネルギーは原子力でしか作れない。なのに何故原子力空母は事故を起こさず、原発は事故を起こすのか?考えれば解かることです。
原発は事故を起こす程度にしか費用と安全への配慮をしていないんですよ。原子力空母は絶対に事故が起こったら困るから、まず安全性を重視する。原発は採算性が取れる範囲で安全性を考える」

確かに原子力空母は原発の5倍費用をかけて製造していますものねえ。

「原子力発電所が大事故を起こした場合、一体どのような災害が引き起こされるのか、これまで国や電力会社はそのことに関する知識を故意に隠してきたし、大災害になった場合、どのようにして自らの身を守るかについても知識は与えられてこなかった。
避難訓練などすれば原子力発電に対する国民の不信感を呼び起こすだけというのが国と電力会社の姿勢なのである」

この言葉が正しかったことは現実で証明されてしまいました。では、これからどうすればいいのか?私達はそれを考えなければいけませんね。


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