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zoom RSS 箱根 冨士屋ホテル物語増補版 山口由美

<<   作成日時 : 2011/05/09 23:33   >>

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「消えた宿泊名簿」が冨士屋ホテルの物語というものが話の根底に流れたいたにせよ、基本的には「戦争とホテル」の物語であったのに対し、こちらは全面的に冨士屋ホテルと冨士屋ホテルを創りあげていったいった男達の物語ですね。

「イザベラバードの奥州紀行」を読んだ時に日光の金谷ホテルの話が出たので、なんとなく冨士屋ホテルも武士の住居は外国人を泊めることによってホテルに転化していったパターン化と思っていたのですが、まったく違っていたのですね。

箱根の山は、天下の嶮、ですが東海道の要所でもあるので、なんとなく今ある箱根の姿から昔の箱根を想像してしまいますが、遊歩道になっている旧東海道を思い浮かべると、あんな道しかない時代に、よく西洋式のホテルを作ろうと思ったよな、と創業者のパワーに感嘆してしまいます。

さすが明治男。箱根山の王と呼ばれるだけのことはあるわ。金谷ホテルの創業者の息子でもある二代めが少年時代、外国人を泊めている宿ということで日光の人々から嫌がらせを受け悔し泣きする、というエピソードがありますが、箱根でそういう話がないのは時代の違いや日光と箱根という土地の違いもありますが、周囲の人々に与える影響の大きさの違いもあったのかな?と思います。

ホテルの為に電力会社を作り、道を整備する。道の行き来が楽になり、家々に電灯がひけるようになった地元の人にとっては周囲の家々と異なる西洋式の建物、宿泊者は外国人、箱根の闇の中でも燦然と輝く夜光の冨士屋ホテルは排斥の対象ではなく、憧れの対象だったのでしょうね。

闇の中の灯りというのは、それだけ心を惹かれるものがありますもの。

箱根はマレビトの恩恵をたっぷり受けたのか。そりゃ初代の葬儀の時に村をあげて葬儀に参列しますよね。マレビトのお見送りは盛大にしないと。

それにしても金谷ホテルと冨士屋ホテル、日本のクラシックホテルとして名高いホテルの二代目が兄弟だとは知りませんでした。

写真を見るとそっくりですよね、この兄弟。この時代に8年間を外国で暮らし、父の反対で結婚は諦めたとはいえイギリス女性と恋をする。

この放浪時代だけで物語が作りれそうな二代目ですね。富士屋ホテルの最も輝いている時代を創りあげた二代目が戦争の最中に亡くなったということはなんだかとても暗示的ですね。

自由があってこそ輝けた人は自由がない時代には生きられなかったのか。確かにこの人では三代目のように進駐軍の接収時代に対応出来なかっただろうな、とは思いますが、象徴的で寂しい。

なんだか、その時代、その時代ごとに富士屋ホテルが自分を輝かせるのに相応しい主人を選んでいるような印象さえ与えます。

乗っ取り事件の顛末も、山口家本家の人間の感情としては理解出来るのですよ。
国民のほとんどが飢えていたあの時代に(戦後の日本の食糧事情は「蛍の墓」の時より悪化してますものね)、実際の苦労はどうであれ、接収ホテルの支配人として飢えもなく華やかな暮らしをしているように見えた三代目一家は創業者の血をひいてないですからね。
創業者の血を引く人間としては面白くないでしょう。本家筋の人間の反発を買うのも無理はない。

でも、そこで手を組んだ人間が乗っ取り屋で名高かった横井英樹というのは、あまり上手い手とは言えないのではないでしょうか?
いいお家の人って利用しやすいんだなあ的な世間知らずさを感じてしまう。

その後のホテルニュージャパンの火災など、彼が手に入れたホテルの結末を考えると、自分を輝かせることの出来ないような主人はいらない!と冨富士屋ホテルが拒否したのかな?とオカルト的なことを考えてしまいます。

クラシックホテルとして持てはやされる富士屋ホテルの現在を見ると、山口家のものではなくなったとしても、と国際興業を選んだ三代目の選択は正しかったと思うけど、横井英樹と手を組んで三代目を追い落とそうとした本家筋の人達はその時どう思ったのでしょうね。
絶対三代目のことを恨んだと思うけど、富士屋ホテルがニュージャパンと同様になったとしたら後悔しなかったのかしら?

富士屋ホテルは山口家の富士屋ホテルであると同時に、富士屋ホテルに関わる人達にとっても富士屋ホテルであることを理解していたら結果は違っていたのかなあ?戦前の社長令嬢とその家族ですからね。

ホテルの顧客はともかく、そこで働く従業員のホテルへの愛着やの誇りなんてことをどれだけ考えたのか疑問が残りますもの。

だからホテルに選ばれなかったのかしら?なんて考えたら本家筋の人に悪いかなあ。

「歴史」が主役のホテル。本書の中に出てくる言葉ですが、確かにこの一言は富士屋ホテルを語るのに相応しい言葉かもしれませんね。


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山口由美 千早書房発行年月:2007年04月 ページ数:249p サイズ:単行本 ISBN:9784


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