海猫亭日誌

アクセスカウンタ

zoom RSS 桂よ、わが愛 その死 三宅 一郎 / それでも朝はくる 森村 桂

<<   作成日時 : 2010/03/14 01:22   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 21 / トラックバック 0 / コメント 1

やっぱりメンタル疾患の患者の応対にはきっちりとプロの力を借りないとダメだわ。旦那さん共依存に陥ったあげく自分もうつ病になってしまったじゃないか。

介護問題は介護される側だけでなく介護する側のケアも重要だと言うけれど、これって老人介護だけでなく精神疾患の場合にも言えることだったんだなあ、というのが感想でした。

一組の夫婦の話を夫側から書いた本と妻側から書いた本です。妻側の本は前夫と離婚してから現夫と再婚するまでの話を、夫側の本は再婚してから妻の死までの話を書いてます。

森村 桂という作家を覚えている人も少なくなったでしょうね。もっとも私も彼女の本は「天国に一番近い島」と「忘れんぼうのバナナケーキ」それからお菓子に関する本くらいしか読んだことはないのですが。

最初に読んだバナナケーキの本に、やたらと親が売れない作家であること。家の生活が貧しいことを書いてあったので、しばらくの間この人は貧しい家庭の出身なんだ、と思っていたのですが、後に彼女が学習院卒業だと知って、

男性だって中高で学校は終わり、その後は就職というのが珍しくなかったあの世代で小学校から大学まで学習院に娘を通学させる家庭のどこが貧乏なんだ?

そりゃ学習院なら元華族やら財閥の子弟やらがゴロゴロしていただろうから、それと比べればそりゃ貧しいだろうけど、そんなのと比べたら日本人の大半は貧乏だわ、と思ったのですが、客観的事実としてどうであるかというのは彼女にとってあまり重要でなかったのでしょうね。

主観的事実として家は貧しく、私は貧しさに苛まれていた、ということの方が大事だったのかしら。

「それでも朝がくる」を読んだ時、あまりに依存心の強さと夢見る乙女っぷりに、あのもう少ししっかりと現実みようよ、と思ったけれど、2冊合わせて読むと、要は母親との関係に歪みがあり、満たされない欲求を満たす為に人に対して依存する傾向を持っていた女性がモラハラDV男との結婚でどこか壊れてしまい、その傷を癒す為の手段として新たな結婚に逃げることを選び、再婚相手にどっぷり依存したあげくメンヘラを繰り返し自死してしまう、という話としか読めませんでした。

時代もあるのだろうけど、旦那さんも妻が自分のことを「お父ちゃん」と呼び、自分達の関係が「夫と妻」ではなく「父と娘」になってしまったことに気づいた時、どうして危機感を持つのではなく「甘えさせてあげよう」なんて思ったのでしょう?

そこは「甘えさせてあげよう」ではなく「やばい」と思わなければいけなかったのに。だって「夫と妻」は「父と娘」とはまったく別の関係性にあるものでしょう?

「対等なパートナー」になるべきものが「保護者と被保護者」の関係になってしまってどうするんですか?

「アリスの丘のティールーム」に代表されるように森村 桂の作品は少女趣味が満ち溢れているけれど、同じように少女趣味嗜好で有名な田辺聖子先生は(なんたってエッセイでスヌーピーの特大ぬいぐるみに名前をつけて一緒にダンスを踊ると書いてしまわれる方だ)旦那様と対等なパートナーでおられたというのに。
(妻がぬいぐるみとダンスを踊っている姿に「重いやろ、貸してみ」とぬいぐるみを受け取って動かしながら妻とダンスを踊った後そういう自分の姿にハッと気づいて「わし、いったい何やってるねん」とつぶやく旦那さまの姿に大笑いしました)

親では満たされなかった欲求をパートナーで満たそうとする、という気持ちは解らないではないけれど満たし方が間違ってますよね。

田辺聖子先生の旦那様が亡くなる時に先生に遺した言葉は

「かわいそな、わしはあんたの味方やで」

だそうですが、「私はあなたの味方だ」という想いが似通っていてもここまで結果に違いがあるのかとしみじみ思ってしまいまいた。

田辺聖子先生は嗜好は少女趣味でも、ものの考え方や現実を見据える目はしっかり大人だからなあ。

夢の世界を楽しむけれど、夢の世界を逃げ場所にはしない。

現実の苦さもやるせなさも逃げずに、でもつぶされないようにやり過ごす術を心得た方。大人になりきれなかった少女と少女の心を持った大人の違いがこういう結果の違いを生んだのでしょうね。

この本を読んだ時、山岸涼子って優しかったのだなあ、とため息をつきました。

彼女は、自分のいたらなさに気づいて自分を変えようと努力する登場人物には暖かい目を向けるくせに自分に都合のいい夢に閉じこもって変わろうと努力しない登場人物については冷酷と言える程の冷たさで突き放す話を書く人で(トラウマになった少女マンがで必ず名前が挙がる人だし)、

少女マンガ読みなら名前くらいは聞いたことがある「天人唐草」という話があるのですが、この2冊を読んだ時、うわあリアル天人唐草、と思ってしまいましたよ。

親の価値観に縛られ、自分に都合のいい夢を見続けたあげく破滅する主人公。

あれは夢見る少女達に「こうなりたくないでしょ」と現実を認める力を持たないことの怖さを突きつける山岸涼子の優しさだったんだなあ、としみじみ思いました。

旦那さんは親の収入の不安定さや成育環境が妻の精神状態に与えた影響について言及していたけれど、だからといって夢に逃げ込んでしまっていいわけじゃないですよね。

親の収入の不安定さが夢に逃げ込むことの言い訳になるなら、貧乏詩人で有名な山之口獏(作品自体は発表する度に高評価を得るけれど、一つの詩作に時間がかかり過ぎて寡作だったので貧乏だった)
の娘泉さんが父について書いた本を読んだけれど、彼女は父と母との関係をそれぞれの立場を考えながら振り返れる程冷静にあるがままの現実を受け入れたいたのにね。

この人の場合、周りが彼女の我侭と甘えを受け入れてしまえる程収入があったことが不幸だったのかもしれませんね。

結婚式の会場担当者が現場担当レベルではなかったということは、相当手のかかる、でも粗末にするわけにはいけない客だったのでしょうね。

仕事だから仕方ない、そう思って我侭や甘えを受け入れてくれていた人多そうだなあ。結局それが優しい虐待になってしまったのかなあ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 21
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
ナイス ナイス ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
森村桂さんはそういう方だったろうなと思います。あと森鴎外の娘さんの茉莉さんとか、秀でた才能とそういう気質は同居しやすいよいな気もします。うらやましい環境でも、ご本人にとって辛いことの多い人生だったのかなあと思いました。
塚腰 恵美子
2012/11/22 13:09

コメントする help

ニックネーム
本 文
桂よ、わが愛 その死 三宅 一郎 / それでも朝はくる 森村 桂 海猫亭日誌/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる