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zoom RSS 国をつくるという仕事 西水 美恵子

<<   作成日時 : 2010/01/11 22:54   >>

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歴史好きの女の人を歴女というそうです。初めて聞いた時は、なんだそりゃ、と思いましたが。

たぶん、女の人は歴史ものは好きではないという思い込みが先にあって、そうではない女の人がいることに気づいて、マーケティングのカテゴリ分けの為に言葉を作ったのかな?と思っております。(こんな仕様もない言葉が自然発生的に出来上がったとは思えないので)

だって歴史好きの女の人なんて珍しくないでしょ。少女マンガだって歴史ものには一定の需要があるわけだし。

今生きている「ここ」ではない「どこか」と魅力的な人物を知ることの楽しみを嫌いな人っているのかしら?だから歴史ものではありませんが、この本はとても面白かったです。

そもそも著者自体が
「貧困のない世界をつくる」夢を追う為に学者の世界から世界銀行に飛び込んだ人ですからね。

「世界銀行の使命は貧困のない世界を作ること。この使命を背負う仕事の究極は正義の味方になることだ。政治力のない貧民の為に正しいことを正しく行う勇気あるリーダー達の味方になる。この精神を本気で貫かないと世界一流の知識や技術の提供が無駄になる」

一年の研究休暇の後、大学に戻らずに世銀に残ると決めた著者に冬至の世銀副総裁から手向けられた言葉ですが、この精神に基づいて行動した著者の心に残った人達ですから、権力者の腐敗と悪統治を敵に回し、貧困解消の為に戦う魅力的なリーダー達がてんこ盛りなんですよね。

「正しいことを正しく行う」情熱を旨に、心身一体、一貫した行動で「何をすべきか」ではなく「すべきことどどう捉えるか」が貧困解消への道の始まりとして行動するリーダー達。

リーダーの仕事には夢と情熱と信念がある。頭とハートが繋がっている、という言葉は、頭とハートが繋がっていない政治を目にしているものとしては痛いですね。

どのリーダーも魅力的なんですが、やっぱり世にもまれなリーダーと敬愛をおくブータン国王雷龍王四世が魅力的でした。

本書の中でブータンのネパール人難民について触れているのですが、政府の方針に従っている雷龍人側だけでなく、それに反対してデモをしているネパール系住民の言葉に
「ブータンに人権を。国王陛下バンザイ」
という言葉が出る理由が分かりますわ。

知・仁・勇、三拍子揃った名君のうえに引き際の見事さが凄い。
リーダーへの信頼が「盲従」に繋がると、国民の大反対を押し切って国王の弾劾保安と国王定年制度を導入し、定年の年を待たずに皇太子へ王位を譲位しちゃうんですものね。
権力は腐敗する、とわかっていても権力を手放せないのが人の常なのに。さすがだわ。

「名君、暗君どちらを抱くかの確率は半分。リスクヘッジの為に王家と国民の関係が良好なうちに立憲君主制度に移行するのが国の為だ」
と王様大好きな国民に
「なんでそんなものする必要あるんですか。心配なさらなくても皇太子殿下も優秀じゃないですか」
と嘆かせた人。

こういう人が王位についても難民問題が起こったのだから、移民問題というのはひどくデリケートな難しい問題なのですね。(個人的にはネパール人側のリーダーがもう少し上手いやり方を取っていたら、ここまで問題はこじれなかったような気がしますが。自分の国の問題を解決する為に他国の軍隊に働きかけたら、ふつう政府は血管きれるでしょう。悪くすれば侵略されちゃうもん。ブータンなんてインド、中国の2大大国に囲まれているわけだし)

そういうデリケートさって今の日本の政治家に分かっているのかな?移民問題だけではなく、他の問題でも国民が信頼できるリーダーとはとても思えないのだけど。

こういうリーダーシップのある人が出る国、出ない国の差はなんだろう?そう思いながら読み進んでいたら解説代わりに寄せられた文章を読んでぽんと手をたたいてしまいました。

「真のリーダーシップは、必ず人々に対する共感を原点としている」

今の日本にあふれているリーダーシップ論は「知識」として「マニュアル」として語られる操作主義に彩られた「自己の願望」から発するリーダーシップ論であり「他者への共感」から発するリーダーシップとは似て非なるもの。自己中心性と操作主義ゆえに必ず壁につきあたる。

ああ、確かに人を操る心理学の本は書店にあふれてますものね。

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